ホルムズ海峡封鎖で原油価格高騰か?イラン情勢と世界経済・日本への影響

国際ニュース

イラン国会、ホルムズ海峡封鎖を承認も「最終決定は最高評議会」(法的拘束力なし)

2025年6月22日、イラン議会(マジュレス)は米国による核施設空爆への強い抗議として、ホルムズ海峡の封鎖を支持する決議を全会一致で承認しました。ただしこれはあくまで「非拘束的な決議」であり、封鎖の実施には国家安全保障最高評議会(Supreme National Security Council)の承認が必要とされています (Reuters Japan)。


ホルムズ海峡とは何か・海上輸送の要衝の重要性

ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結び、最狭部では約33 kmという狭い海峡です。ここを通過する原油や液化天然ガスは世界の約20%(石油換算で1日約1,700万〜2,100万バレル)に上り、日本を含むアジア諸国のエネルギー輸入にとって不可欠な航路です (ウィキペディア, 南華早報, ウィキペディア)。


イランの準備状況:機雷積載・封鎖の現実性

米情報機関は6月、イランがペルシャ湾の艦艇に対艦機雷を積載した可能性を把握しており、これは封鎖準備の兆候とも受け止められています。ただし実際に敷設されたか、また現在も積載されているかは未確認です (Reuters Japan)。
専門家は、イランは封鎖を実行する法的権限を持たず、ドローン・高速艇・機雷による威嚇的対応にとどまる可能性が高いと指摘しています。一方で、封鎖はイラン自身の石油輸出にも致命的ダメージを与えるため、長期維持は困難とされています (Bloomberg.com)。


国際的反応とエネルギー市場の反響

アメリカ国務長官や英国外相らは、封鎖が実行されれば「自殺行為」と断言し、中国にも外交的な仲介を促しています (theguardian.com)。
市場では、決定報道後に原油価格が7〜14%急騰し、短期的にはブレント原油が100ドルから150ドル超の水準も懸念されました。しかし、その後は価格が落ち着き、6月23日時点では70ドルを下回って推移しています (ウィキペディア)。
輸送保険料や海運運賃も急騰し、タンカーは迂回航路を模索し、出発を見合わせるケースも報告されています (ウィキペディア, 南華早報)。


日本への影響:エネルギー安全保障と経済への波及

日本は中東産原油・LNGを約8割以上海上輸送に依存しており、その大半がホルムズ海峡経由です。仮に封鎖が実行されれば、輸入価格の上昇、燃料・電力料金への波及、また輸送コスト増による物価上昇が懸念されます (南華早報, ウィキペディア)。
特に原油関連銘柄(例:富士石油など)は需給逼迫への警戒から株価が反発し、エネルギー業界全体が注目されています (Yahoo!ファイナンス)。
政府や産業界は備蓄政策の強化、代替ルート(例:サウジアラビア東西パイプライン等)確保、価格安定策や省エネ推進などの対応が求められます。


専門用語解説

  • 非拘束的決議:法的には強制力を持たず、実施には別の機関(ここでは最高評議会)の判断が必要な議会決定の形態。

  • 機雷(naval mine):水中に設置されて船舶の接近や接触で爆発する兵器。封鎖や航行阻止の威嚇手段として活用される。


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この記事は、Reuters、SCMP(英語・香港)、Bloomberg(日本語版)、Al Jazeera 等の多言語ソースおよび国際戦略研究所などを参照しつつ、中立的立場で構成しています。信頼性の高い国際的報道に基づき、読者の皆様に偏りなく情報を提供することを目的としています。

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